出水時における森林河川の栄養塩濃度に与える地下水流出の影響

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タイトル別名
  • Effects of groundwater flow on nutrient concentrations during storm events in a forested stream

抄録

九州北部の人工林流域(面積3.6ha)を対象に,出水時における河川水の溶存態窒素(DN)濃度に与える地下水流出の影響について調べた。2-6時間間隔での出水時の河川水採取と,10分間隔での流量と基岩内地下水位の観測を行った。2010年7月から翌年7月において解析対象とした出水は16個(降雨規模は6-226mm)であった。河川水のDNについて出水時の代表濃度(EMC)を求めた結果,その範囲は1.7-2.7mg/L,平均値は2.3mg/Lであった。この平均値は,平水時の平均DN濃度(2.3mg/L)と同等であった.深さ3mと20mの地下水の平均DN濃度は,それぞれ2.6,1.9mg/Lであった。地下水の動水勾配が鉛直上向き,かつ谷底の土壌が飽和した条件での出水においては,EMCが平水時の平均値よりも低かった。つまり,低いDN濃度を持った基岩内部の地下水が地表に現れ,出水時の河川水のDN濃度を低下させたと解釈できる。出水時のDN濃度形成過程の研究においては,直接流出成分(表面流や土層中の側方流等)が注目される場合が多いが,流域によっては基岩地下水の流出が無視できないと結論づけられた。

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390282680683588608
  • NII論文ID
    130005048937
  • DOI
    10.11519/jfsc.124.0.767.0
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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