ウシ精子の先体反応における卵丘細胞の関与
抄録
【目的】先体反応は,精子が卵子と融合するために必須の形態的,生理的変化であり,受精における重要な反応である。先体反応は主に透明帯との結合により誘起されると考えられているが,プロジェステロン(P)やその他の化学物質によっても誘起される。本研究では,ウシ精子の先体反応における卵丘細胞の関与の解明を目的に,卵丘卵母細胞(COCs),卵丘細胞(C),卵母細胞(O)とのインキュベーションによりウシ精子の先体反応を調べた。【材料および方法】ウシ精子は黒毛和種雄ウシの凍結精液を融解,洗浄後,20×106 sperm/mlに調整し供試した。培地は0.3%BSA添加BO液(BO)を基本培地とし,以下の実験を行った。実験1:精子は,BO,Heparin - caffeineを添加したBO(H),PレセプターのアンタゴニストであるRU-486を添加したH(RU)の各培地で処理後,それぞれの浮遊液にCOCsを加え,38.5℃,5%CO2でインキュベートした(BO-COC区,H-COC区,RU-COC区)。対照区の精子はBO,Hで4時間,またはHで3.5時間インキュベーション後,P(2 µg/ml)を添加し0.5時間インキュベートした(BO区,Hep区,P区)。実験2:精子は,BO,Hで処理し,それぞれの浮遊液にCOCsからピペッティングにより分離したCまたはOを加え,インキュベートした(BO-C区,BO-O区,H-C区,H-O区)。生存精子の受精能獲得と先体反応は,4時間のインキュベーション後,ヘキスト33258- クロルテトラサイクリン(HO-CTC)染色により検査した。【結果】実験1:H-COC区の先体反応誘起率はBO-COC区,RU-COC区より有意に高く,P区と同程度であった。実験2:H-C区は,BO-C区,BO-O区より有意に高い先体反応誘起率を示した。H-C区は,H-O区との比較では,有意な差はなかったが,高くなる傾向がみられた。以上のことから,ウシ精子における先体反応は卵丘細胞により誘起され,それは卵丘細胞から分泌されるプロジェステロンが関与している可能性が示唆された。
収録刊行物
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- 日本繁殖生物学会 講演要旨集
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日本繁殖生物学会 講演要旨集 106 (0), OR2-9-OR2-9, 2013
公益社団法人 日本繁殖生物学会
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390001205714916224
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- NII論文ID
- 130005051100
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- 本文言語コード
- ja
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- データソース種別
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- JaLC
- CiNii Articles
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可