フィラデルフィア染色体陽性急性リンパ性白血病治療時における微小残存病変モニタリングについての後方視的調査

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  • Retrospective study on the monitoring of minimal residual disease during the treatment of Philadelphia chromosome-positive acute lymphoblastic leukemia

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抄録

フィラデルフィア染色体陽性急性リンパ性白血病(Ph+ALL)は,9番染色体と22番染色体の相互転座によりBCR-ABLチロシンキナーゼが形成,活性化されることで発症する.従来の化学療法のみでは治癒は得られず予後不良のALLと言われていたが,チロシンキナーゼ阻害薬(TKI)であるイマチニブの導入で寛解率および生存率は飛躍的に向上した.そこで,当院で過去10年間に経験したPh+ALL 5例(年齢中央値46歳,男性2名,女性3名)に対するTKI併用化学療法の治療成績について調査した.完全寛解率は100%で5例中3例が無病生存しており,TKI併用化学療法の有用性が認められる結果であった.現在,TKIを使用することにより多数の症例で寛解を得ることが可能となったが,依然としてイマチニブ抵抗性を示す再発症例は一定の頻度で認められる.Ph+ALLのさらなる予後の改善には数種類あるTKIから最良の薬剤を選択し,TKIと移植の最適な組み合わせの確立が望まれるが,その際にはBCR-ABLキメラ遺伝子のモニタリングやABL遺伝子変異の解析が重要と考えられた.

収録刊行物

  • 医学検査

    医学検査 63 (6), 786-792, 2014

    一般社団法人 日本臨床衛生検査技師会

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