オステオカルシンとインスリン分泌

書誌事項

タイトル別名
  • Organ network for preventing metabolic syndromes with a reference to the roles of osteocalcin
  • オステオカルシン ト インスリン ブンピ

この論文をさがす

抄録

骨は能動的な内分泌器官であることが明らかとなった.中でも,骨基質タンパクであるオステオカルシンは,糖・エネルギー代謝をはじめ雄の生殖機能調節,脳の発育・発達の調節等に重要な役割を果たしていることが最近の研究で明らかにされた.このような骨による生体恒常性維持の様々な局面が明らかになりつつある.オステオカルシン作用の個々のシグナリング経路は十分に解明されていないが,エネルギー代謝に限定すると,受容体として機能する分子の1つとして同定されたGPRC6Aを介して膵臓β細胞に作用して,あるいは消化管に作用してインクレチンの分泌を促し,次いでインスリンの分泌を促す.そのインスリンは骨にも作用して骨代謝を活性化し,さらなるオステオカルシンの分泌を促すというポジティブサイクルが明らかにされている.極論すると,骨代謝が活発になるとインスリン分泌・糖代謝が亢進する.さらに骨代謝が活発化して丈夫な骨になり,かつ肥満・糖尿病になり難いという魅力的なストーリーである.一方で,オステオカルシンが及ぼす効果には性差があることが示唆されている.本稿では,オステオカルシンの特に糖・エネルギー代謝を調節するホルモンとしての役割について,最近の知見を踏まえて紹介する.

収録刊行物

  • 日本薬理学雑誌

    日本薬理学雑誌 145 (4), 201-205, 2015

    公益社団法人 日本薬理学会

参考文献 (35)*注記

もっと見る

関連プロジェクト

もっと見る

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ