疼痛におけるガングリオシドの機能

  • Watanabe Shun
    Department of Pharmacology, School of Pharmacy, Kitasato University
  • Higashi Hideyoshi
    Division of Glyco-Signal Research, Institute of Molecular Biomembrane and Glycobiology, Tohoku Pharmaceutical University

書誌事項

タイトル別名
  • Pain Signaling and Gangliosides

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抄録

痛みの感受性は潜在的に有害な刺激を発見し、回避する重要な神経系の機能の一つである。直接的な侵害刺激に加えて、炎症や神経組織への損傷も感覚神経の活性化を引き起こし、その信号は特定の神経経路を介して脳の高次領域へと伝達される。さらに、様々な生理的な条件下や、病的な状態(例えばウィルス感染、糖尿病、がん、慢性的な炎症、神経繊維への障害など)でも痛みの感受性は増加する。組織への障害や炎症が完治した後も、痛みの過敏化が持続する可能性がある。このような慢性的な疼痛の場合、組織障害が伴わない疼痛はもはやさらなる組織障害を回避するためには役に立たず、痛みは組織の障害のサインというよりは、病気と言って良い状態となる。ガングリオシドは神経細胞に多量に含まれ、神経系において重要な機能を果たしているが、ガングリオシドがどのように疼痛を制御しているかについてはほとんど知られていない。このレビューでは、ガングリオシドが痛みを調節しうることを述べたいくつかの研究を紹介する。これらの研究では、無処置動物や、病的な疼痛モデル動物を使用している。さらに、最近我々のグループの研究が明らかにした末梢のガングリオシドGT1bが疼痛や痛覚過敏を末梢のグルタミン酸シグナルを介して引き起こすことについて述べる。

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