クリゾチニブによるアレルギー性肝機能障害に対してステロイド治療が行われた1例

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タイトル別名
  • Corticosteroid Therapy for Crizotinib-induced, Allergy-mediated Liver Injury: a Case Report

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抄録

背景.ALK陽性肺癌に対する分子標的薬であるクリゾチニブの副作用に肝機能障害がある.しかし対処方法は確立していない.症例.68歳女性,ALK陽性肺腺癌cT4N3M1b(BRA).脳転移治療後にクリゾチニブによる治療が開始された.投与13日目から薬疹,肝酵素の上昇(AST 44 IU/l,ALT 43 IU/l)および好酸球率の増多(7.0%)を認めた.21日目にAST 134 IU/l,ALT 207 IU/lと増悪したため投与を中止した.中止4日目に発熱の出現,薬疹の増悪およびAST 1823 IU/l,ALT 2756 IU/lと肝機能障害の悪化を認め,アレルギー性機序の薬物性肝障害が疑われた.メチルプレドニゾロン250 mg/日を3日間施行して症状,肝機能障害は急速に改善した.結論.クリゾチニブによるアレルギー性肝機能障害に対してステロイドが有効であることが示唆された.クリゾチニブはALK陽性肺癌のkey drugであることから,今後肝機能障害の対処方法の確立が必要である.

収録刊行物

  • 肺癌

    肺癌 55 (1), 48-52, 2015

    特定非営利活動法人 日本肺癌学会

被引用文献 (2)*注記

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参考文献 (8)*注記

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