リンパ性間質を伴う小結節性胸腺癌の1例

書誌事項

タイトル別名
  • A Case of Micronodular Thymic Carcinoma with Lymphoid Stroma

この論文をさがす

抄録

背景.リンパ性間質を伴う小結節性胸腺癌の1例を経験した.症例.45歳女性.胸部CTで指摘された前縦隔結節は4年間で直径14 mmから18 mmへ増大を認めた.PETで有意な集積を認めず,胸腺腫を疑い,胸腔鏡下胸腺部分切除術を施行した.腫瘍は黄白色で充実性の胞巣を形成し,周囲には胚中心をもつリンパ濾胞を認めた.H-E染色からは結節性胸腺腫(micronodular thymoma with lymphoid stroma:MNT)を鑑別に挙げたが,腫瘍細胞の核/細胞質比が高く,核の大小不同,核分裂像などを認めた.CD5,bcl-2,c-kitおよびCK5/6,p40はいずれも陽性であった.リンパ濾胞の多くはCD20陽性B細胞から構成され,胚中心はbcl-2陰性であり,反応性リンパ濾胞と考えた.腫瘍内のリンパ球はTdT陰性であった.以上よりリンパ性間質を伴う小結節性胸腺癌と診断した.結論.リンパ性間質を伴う胸腺癌は本邦での報告例がなく,縦隔腫瘍取扱い規約でも収載されていないため,本疾患の概念を広く認識し,MNTと区別する必要があると考えられた.

収録刊行物

  • 肺癌

    肺癌 55 (1), 59-64, 2015

    特定非営利活動法人 日本肺癌学会

被引用文献 (3)*注記

もっと見る

参考文献 (6)*注記

もっと見る

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ