乳頭筋異常による左室流出路狭窄に対して僧帽弁置換術を施行した1例

  • 瀬尾 浩之
    地域医療機能推進機構 大阪病院 心臓血管外科
  • 藤井 弘通
    地域医療機能推進機構 大阪病院 心臓血管外科
  • 青山 孝信
    地域医療機能推進機構 大阪病院 心臓血管外科
  • 笹子 佳門
    地域医療機能推進機構 大阪病院 心臓血管外科

書誌事項

タイトル別名
  • A Case of Mitral Valve Replacement for Left Ventricular Outflow Tract Obstruction due to Abnormal Papillary Muscle

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抄録

症例は72歳の男性.閉塞性肥大型心筋症と診断され,4年間,薬物加療が行われていたが,労作時倦怠感および呼吸苦が出現した.心エコー検査では,全周性の心筋肥大と左室中部から流出路における狭窄病変を認め,同部位での最大圧較差は94 mmHgと増悪していた.また,前乳頭筋が著明に肥大して前方に偏位しており,同乳頭筋から僧帽弁前尖へ付着する腱索が著明に短縮しtetheringを認めていた.収縮期には,肥大した前乳頭筋が心室中隔側へ偏位し,さらに僧帽弁前尖の収縮期前方運動も伴って左室内狭窄の原因となっていた.乳頭筋異常による左室内狭窄を合併した肥大型心筋症と診断し手術を施行した.手術は乳頭筋切除を含めた機械弁による僧帽弁置換術を行った.術後経過は良好で,合併症なく経過し,術後14日目に軽快退院した.術後の心エコー検査では,左心室内の狭窄病変は認めず,左室内圧較差は消失していた.僧帽弁下組織の異常に伴う左室内狭窄を合併した肥大型心筋症に対しては,経大動脈弁での中隔心筋の切除のみでは改善しないことがある.このような症例においては乳頭筋切除を伴った僧帽弁置換術も重要な選択肢のひとつであると思われた.

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参考文献 (3)*注記

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