再発卵巣癌治療後7年目に膀胱内腫瘤を形成した明細胞腺癌の1例

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タイトル別名
  • Late relapse of clear cell adenocarcinoma in the bladder seven years after treatment of recurrent ovarian cancer -- a case report
  • 症例報告 再発卵巣癌治療後7年目に膀胱内腫瘤を形成した明細胞腺癌の1例
  • ショウレイ ホウコク サイハツ ランソウ ガン チリョウ ゴ 7ネンメ ニ ボウコウ ナイ シュリュウ オ ケイセイ シタ アキラ サイボウセンガン ノ 1レイ

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抄録

今回われわれは,再発卵巣明細胞腺癌の治療後7年目に,膀胱内に発現した明細胞腺癌を経験した.症例は4回経妊2回経産,初診時は60歳であった.初診時に原発性卵巣癌と診断し,術後診断は右卵巣明細胞腺癌pT2cN0M0であり,術後化学療法を行った.初診から3年目に骨盤腹膜に約3cm大の明細胞腺癌の再発を認め,これを外科的に切除し,術後化学療法を行った.再発の治療から7年目に膀胱内腫瘍を認め,経尿道的膀胱腫瘍切除術(TUR-Bt)を施行した.病理診断は明細胞腺癌であった.術後の追加治療は行わなかった.原発性膀胱明細胞腺癌と卵巣明細胞腺癌の膀胱への再発はともにきわめてまれなケースであるが,本症例では双方の可能性を考える必要性がある.しかしながら,子宮内膜症,ミュラー管遺残,膀胱原発腺癌の異分化および尿路上皮癌の化生性変化などの発生母地を推測する他の組織の混在があれば原発性膀胱明細胞腺癌といえるが,本症例では認められなかった.また免疫組織化学的分析では臓器の違いにより明細胞腺癌を鑑別できない.そこでわれわれは正常な移行上皮下の結合織内に明細胞腺癌が存在することを根拠に再発癌の可能性が高いと考えた.膀胱内再発癌のTUR-Btから3年目に再び膀胱内腫瘍を認め,再度TUR-Btを施行し,明細胞腺癌の再発の診断となった.術後の追加治療は行わなかった.現在も慎重に経過観察中であるが,再発を認めていない.〔産婦の進歩67(1):7-13,2015(平成27年2月)〕

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