閉経後に多量の腹腔内貯留液を伴って発見された巨大卵巣血腫の症例

  • 角張 玲沙
    大阪府立急性期・総合医療センター産婦人科
  • 小西 恒
    大阪府立急性期・総合医療センター産婦人科
  • 田中 江里子
    大阪府立急性期・総合医療センター産婦人科
  • 連 美穂
    大阪府立急性期・総合医療センター産婦人科
  • 宇垣 弘美
    大阪府立急性期・総合医療センター産婦人科
  • 竹村 昌彦
    大阪府立急性期・総合医療センター産婦人科

書誌事項

タイトル別名
  • A case of large postmenopausal ovarian tumor with massive peritoneal fluid
  • 症例報告 閉経後に多量の腹腔内貯留液を伴って発見された巨大卵巣血腫の症例
  • ショウレイ ホウコク ヘイケイ ゴ ニ タリョウ ノ フクコウ ナイ チョリュウエキ オ トモナッテ ハッケン サレタ キョダイ ランソウ ケッシュ ノ ショウレイ

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抄録

症例は55歳,閉経52歳,2経妊0経産であった.1年間で30kgの体重増加,発熱,腹痛,多量の腹水貯留により当科へ紹介された.高血圧,2型糖尿病で加療中であり,脳梗塞の既往歴があった.BMIは47であった.超音波検査にて長径20cmの嚢胞性骨盤内腫瘍と多量の腹腔内貯留液を認め,CA19-9は 496U/ml,CA125は 238U/mlであった.造影MRI検査では,右卵巣壁が肥厚し腹膜の一部に造影効果を認めた.繰り返し実施した腹水細胞診では悪性所見は検出されなかった.患者の耐術能を考慮し,確定診断を目的として腹腔鏡補助下右付属器切除術を行い,褐色腹腔内貯留液を22400ml回収した.腫瘍内部には茶褐色泥状成分が多量に貯留していた.組織学的に腫瘍の上皮成分を見いだすことはできなかったが,卵巣子宮内膜症性嚢胞の可能性を考えた.周術期合併症を併発することなく経過し,その後腹腔内の液体再貯留を認めていない.子宮内膜症性病変による大量腹水貯留という病態は非典型的で,内膜症が活動性を有する年齢では複数の報告例があるが,閉経後の報告はない.術前に卵巣悪性腫瘍の可能性も疑ったが,全身状態を考慮して腹腔鏡下手術を実施した.閉経後であっても何らかの原因で卵巣子宮内膜症性嚢胞の活動性病変を引き起こす可能性や,嚢胞破裂に伴う腹膜刺激によって腹水貯留をきたす可能性を考慮する必要がある.〔産婦の進歩67(1):14-20,2015(平成27年2月)〕

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