手根の屈曲と伸展が前腕回外力に及ぼす効果

DOI
  • 大瀧 亮二
    初台リハビリテーション病院リハビリテーション科
  • 佐藤 寿晃
    山形県立保健医療大学保健医療学部作業療法学科
  • 長沼 誠
    山形医療技術専門学校理学療法学科 山形大学医学部解剖学第一講座(形態構造医学)
  • 鈴木 克彦
    山形県立保健医療大学保健医療学部理学療法学科
  • 成田 亜矢
    山形大学医学部整形外科学講座 山形大学医学部解剖学第一講座(形態構造医学)
  • 佐藤 麻人
    鶴岡市立荘内病院 リハビリテーション科
  • 宮坂 卓治
    信州医療福祉専門学校はりきゅう・柔道整復学科
  • 藤井 浩美
    山形県立保健医療大学保健医療学部作業療法学科
  • 内藤 輝
    山形大学医学部解剖学第一講座(形態構造医学)

書誌事項

タイトル別名
  • Effects of wrist flexion and extension on forearm supination force

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抄録

ヒトでは、橈側手根屈筋(FCR)は前腕の回内、橈側手根伸筋(ECR)は回外に作用する。本研究では、健常者8名を対象に、手根の屈曲と伸展が前腕の回外力に及ぼす効果について調べた。前腕回内90°(回内)、60°、30°、0°(中間)位で、手根の力を抜いた状態、最大屈曲および伸展した状態で等尺性収縮による回外(それぞれ回外単独、屈曲回外、伸展回外とする)の最大力を計測し、FCR、ECR、上腕二頭筋(BB)の筋電図を記録した。筋電図では、回外前の屈曲でFCR、伸展でECR の活動が認められた。回外時には、回外力の増加に伴ってみられるBB の活動が、回外単独と屈曲回外に比べ伸展回外で増大、屈曲回外ではBBの活動に一致してFCR の活動が減少しECR の活動が増加するのが認められた。回外力は、 回外単独、屈曲および伸展回外の何れも回内位から中間位になるにつれ小さくなった。回内、回内60°、30°、中間位のそれぞれで回外単独の回外力を100%とすると、伸展回外は163±20%(平均±標準偏差)、142±17%、134±15%、118±23%、屈曲回外は81±7%、90±14%、78±13%80±10%となり、どの肢位でも伸展回外で増加、屈曲回外で減少、伸展回外の増加率は中間位になるにつれ小さくなった。以上、回外力は回内位から中間位になるにつれ減少すること、回内位から中間位までのどの肢位でも回外力は手根の伸展により増強、屈曲により減弱、伸展による増強効果は中間位になるにつれ漸減することが示された。 ヒトでは、FCR とECR の間に抑制、ECRからBB に促通、BB からFCR に抑制の脊髄反射がある。筋電図の結果は、今回示した効果が筋の作用だけでなく、反射の活動も反映していることを示唆するものである。

収録刊行物

  • 形態・機能

    形態・機能 8 (1), 13-18, 2009

    コ・メディカル形態機能学会

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