ヒト由来脳腫瘍細胞に対する405/532/808 nm低出力レーザー照射効果とミトコンドリア動態

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  • Effects of 405/532/808 nm Low-Power Laser Irradiation on Human-Derived Glioblastoma and Mitochondrial Morphology

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抄録

低出力レーザー照射(Low power laser irradiation: LLI)に関して,細胞増殖を含め,さまざまな生物学的過程に影響を及ぼすことが報告されてきたが,その作用機序については不明な点が多い.われわれはヒト由来脳腫瘍細胞(glioblastoma A-172)を対象に研究し,405 nm LLI は細胞死を誘発する,532 nm LLI は細胞増殖を促進する,808 nm LLI は細胞周期を遅延させる効果をもつと報告してきた.こうした波長特異的な効果の作用機序を明らかにする一歩として,今回,ミトコンドリアの動態に着目して実験を行った.従来と同一の実験系において,各波長(405: 27 mW,532/808 nm:60 mW)のLLI を用いて,96 ウェルプレートに播種し一晩培養したA-172 (0.3×104 cells/mL)への照射を試みた.非照射群をコントロールとし,実験群では20, 40, 60 分間照射を行い,照射直後,24 時間後にミトコンドリアを染色して画像撮影を行った.532 nm LLI の場合,小型の顆粒状形態を示すものが多く,面積が1 μm2 以下のものが非照射群と比べて有意に多く,1 μm2 以上のものが有意に少なかった.逆に808 nm LLI の場合では融合型のものが多く,面積が1 μm2 以下のものが有意に少なく,1 μm2 以上のものが有意に多かった.405 nm LLI ではアポトーシスを示す細胞と紡錘型の生細胞が観察された.後者の細胞のミトコンドリア形態は532 nm LLI の結果と同様な傾向を示し,かつそれらの効果の照射時間依存的な傾向性も示した.以上の結果から,A-172 細胞に対する405/532/808 nm LLIs の波長特異的な効果はミトコンドリアの異なる形態変化に基づいている可能性があると結論された.

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