両側聾が改善したANCA関連血管炎による難治性中耳炎

  • 内田 真哉
    京都第二赤十字病院耳鼻咽喉科・気管食道外科
  • 上田 雅代
    京都第二赤十字病院耳鼻咽喉科・気管食道外科

書誌事項

タイトル別名
  • A Case of Otitis Media with ANCA-associated Vasculitis Syndrome

この論文をさがす

抄録

患者は66歳女性で、両側の進行性難聴と耳漏を認め、鼓膜の白色病変から真珠腫を疑われて紹介された。初診時、CRP陽性、MPO-ANCA陽性、両側肺尖部の結節性病変、両側聾などの所見を認め、ANCA関連血管炎である肉芽腫性多発血管炎 (GPA) を疑われた。肺・鼻腔からの生検では病理組織学的診断がつかずGPA疑いと判定されたが、臨床的にはGPAと考えられた。耳鼻咽喉科的にはANCA関連血管炎による中耳炎と診断し、速やかに寛解導入療法を開始したところ、聾まで進行した難聴が30dB程度まで改善した。<br>通常GPAの中耳炎で聾になると、聴力の回復はほとんど望めないが、本例では治療開始までの期間が約1ヶ月と比較的短期間であったため回復したものと考えられる。また本例はANCA関連血管炎による中耳炎に特徴的と思われる鼓膜所見を示した。

収録刊行物

参考文献 (13)*注記

もっと見る

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ