耳症状を初発としたANCA関連血管炎性中耳炎症例の臨床像

  • 吉田 尚弘
    自治医科大学附属さいたま医療センター耳鼻咽喉科
  • 飯野 ゆき子
    自治医科大学附属さいたま医療センター耳鼻咽喉科

書誌事項

タイトル別名
  • Clinical features of ANCA-associated vasculitis initially diagnosed by otologic symptoms
  • ─聴力像を中心に─

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抄録

難治性中耳疾患には、好酸球性中耳炎、コレステリン肉芽腫、中耳腫瘍などに加えANCA関連血管炎性中耳炎がある。1) 抗菌薬、鼓膜切開などを併用した治療に抵抗性、2) 中耳の肉芽、滲出液の細胞診、病理組織診断にて炎症所見が中心、3) 感音難聴の進行 といった従来原因不明とされていた難治性中耳疾患の中にANCA関連血管炎性中耳炎が存在するのではないかと近年考えられている。本疾患は早期診断、副腎皮質ステロイドと免疫抑制薬投与が必要である。診断例と疑われる症例を提示し、当科で治療、経過観察を行っている8症例の治療前後の聴力変化を検討した。聴力像、臨床所見から、1. 急速な難聴の進行 2. 副腎皮質ステロイド、免疫抑制薬の投与により、感音難聴はわずかでも骨導聴力が残っていれば改善 3. 高音域も聴力が改善する例が多い 4. 聾の症例では聴力は回復しない 5. 聴力回復後、語音弁別能は低下していないという特徴があった。

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参考文献 (20)*注記

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