中等度認知症患者に飴を用いる口腔機能リハビリテーションを行った一症例

  • 山脇 加奈子
    医療法人ピーアイエー ナカムラ病院
  • 吉川 峰加
    広島大学大学院医歯薬保健学研究院応用生命科学部門先端歯科補綴学
  • 津賀 一弘
    広島大学大学院医歯薬保健学研究院応用生命科学部門先端歯科補綴学
  • 久保 隆靖
    広島大学大学院医歯薬保健学研究院応用生命科学部門先端歯科補綴学
  • 田地 豪
    広島大学大学院医歯薬保健学研究院統合健康科学部門口腔生物工学分野
  • 赤川 安正
    奥羽大学

書誌事項

タイトル別名
  • Functional Oral Rehabilitation using Lollipop Candy for a Dysphagia Patient with Moderate Dementia
  • 症例報告 中等度認知症患者に飴を用いる口腔機能リハビリテーションを行った一症例
  • ショウレイ ホウコク チュウトウド ニンチショウ カンジャ ニ アメ オ モチイル コウコウ キノウ リハビリテーション オ オコナッタ イチ ショウレイ

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抄録

症例の概要:患者は73歳男性で脳血管性認知症を有しており,認知症病棟に入院中である.唾液や食物を飲み込みにくいという主訴の下,摂食観察を行ったところ多量の口腔内食物残留および喫食率の低下を認めた.また,嚥下造影検査(Videofluoroscopic examination of swallowing: VF)では,舌搾送運動の不良,嚥下反射の惹起遅延,ならびに口蓋から咽頭部にかけての食物残留を認めた.そこで,従来からの口腔機能リハビリテーションに加え,飴を舐める機能を応用したリハビリテーションを6カ月間行い,訓練介入前後および介入期間中の嚥下機能,口腔機能,口腔内環境,体重および摂食状況を観察したところ,舌搾送運動の改善,最大舌圧値,体重,喫食率の増加,口腔内の食物残留量や細菌数の減少を認めた.<br>考察:中等度認知症患者に対し,従来のリハビリテーションに加えて,複雑な指示理解を必要としない飴を舐めるリハビリテーションを継続することにより,口腔内および口腔周囲筋の廃用防止と口腔内環境の改善につながったものと考えられた. <br>結論:6カ月間の本口腔機能リハビリテーションにより,口腔の機能と環境に改善を認めたことより,中等度認知症患者において,飴を用いたリハビリテーションが有効である可能性が示唆された.

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参考文献 (3)*注記

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