高分子ヒアルロン酸（HA）による軟骨保護作用のメカニズムの解明

• 原田 真理

  岩手医科大学医学部病理学講座機能病態学分野

• 宇月 美和

  岩手医科大学医学部病理学講座機能病態学分野 東北文化学園大学医療福祉学部

• 石黒 直樹

  名古屋大学大学院医学系研究科整形外科学講座

• 岩館 克治

  新薬リサーチセンター

• 澤井 高志

  岩手医科大学医学部病理学講座機能病態学分野 仙台市医療センター仙台オープン病院 東北大学大学院医学系研究科病理形態学分野

書誌事項

タイトル別名

• Mechanism of the protective effect of high molecular weight hyaluronic acid against cartilage degeneration

抄録

目的：ヒト変形性膝関節症（OA）患者の軟骨組織に対するヒアルロン酸（HA）製剤の影響を検討するために，OAモデル動物に対して２種類の高分子HA製剤を投与し，病理組織学的に非投与群と比較検討した．<br> 対象・方法：OAモデルはウサギで石黒らの方法に従って作製した．検討対象としたHA製剤は平均分子量270万DaのHA製剤SUVENYL^Ⓡ（SVE）と鶏冠由来のHAを架橋化して混合した分子量600万DaのSynvisc^Ⓡ（SYN）である．対照として生食を用いた．これらの製剤を反復投与した後，関節部の組織を採取してホルマリン固定し，パラフィン切片を作製して種々の組織学的検討を行った．<br> 組織の評価方法：軟骨に与える影響の評価項目は，① 軟骨のプロテオグリカン，HA，TypeⅡcollagenなど保全状態を反映する基質成分，② aggrecan 分解産物や軟骨細胞のアポトーシスなど軟骨組織，細胞の変性，分解過程を反映する因子，③ Ki67, HAS2, HAS3など軟骨の再生，合成を反映する因子である．<br> 結果：OAの傷害度をOA cartilage histopathology grade assessment-grading methodologyに基づいて分類したGradeは，大腿骨では，対照群4.69±0.25，SVE投与群4.35±0.43，SYN投与群4.38±0.30であり，HA投与群が対照群に対して有意に低値であった（p <0.05）．脛骨では同順に4.81±0.25，4.69±0.25，4.77±0.26であった．大腿骨では，対照群に比較してHA投与群のプロテオグリカン，TypeⅡcollagen，HAの残量が多かった．アポトーシス細胞の陽性率，aggrecanの分解物は低下傾向を示した．またKi67陽性細胞数やHAS2や３のmRNA発現量は増加していた．脛骨についても大腿骨と同様の傾向を示したが，３群間の差は小さかった．<br> 結論：HA製剤は，基質の保護作用を有し，軟骨の傷害を示すパラメータを抑える一方，再生を示すパラメータを上昇させており，OA軟骨に対する有効な影響をもたらしている可能性が組織学的にも示唆された．

収録刊行物

• 臨床リウマチ

  臨床リウマチ 27 (1), 51-63, 2015

  一般社団法人 日本臨床リウマチ学会

キーワード

• cartilage
• osteoarthritis（OA)
• animal model
• hyaluronic acid (HA)
• therapeutic effect

詳細情報

• CRID: 1390282679319942272
• NII論文ID: 130005067621
• DOI: 10.14961/cra.27.51
• ISSN: 21890595
• ISSN: 09148760
• Web Site: https://search.jamas.or.jp/link/ui/2015236778
• 本文言語コード: ja
• データソース種別:
  • JaLC
  • CiNii Articles
  • KAKEN
• 抄録ライセンスフラグ: 使用不可