悪性リンパ腫浸潤による病的大腿骨転子下骨折の1例

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抄録

【はじめに】悪性リンパ腫浸潤による病的大腿骨転子下骨折の1例を経験したので報告する.【症例】73歳女性.3ヶ月前より誘因なく右大腿部痛が出現し,1ヶ月前に前医にて右鼡径部リンパ節腫大を指摘された.タクシーを降りた際より右大腿部痛にて歩行困難なり,当科入院となった.レントゲン像にて大腿骨転子下骨折および骨幹部後壁の皮質骨の透亮像を認め,悪性リンパ腫浸潤による病的骨折が疑われた.入院後3日目に髄内釘を用いた骨接合術および骨生検,リンパ節生検を行った.骨組織およびリンパ節にリンパ腫細胞の増殖があり,悪性リンパ腫(Diffuse large B cell lymphoma)の診断にて化学療法開始となった.【考察】明らかな外傷のない悪性リンパ腫浸潤による病的大腿骨転子下骨折は非常にまれである.しかし,非Hodgkinリンパ腫の14~21%で続発性の骨病変を認めるとも報告されており,境界不明瞭な溶骨性病変があった際には悪性リンパ腫も鑑別として考慮する必要があると考えられる.

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