連続した歯原性嚢胞により側方歯3歯の転位をみた1例

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タイトル別名
  • A Case of Malpositioned Lateral Three Teeth Caused by Connected Odontogenic Cysts

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抄録

顎口腔領域に発生する小児の顎骨嚢胞は含歯性嚢胞の発生頻度が高く,好発部位は下顎小臼歯である。今回著者らは,11 歳男児の下顎左側側方歯部に発症した連続した歯原性嚢胞により側方歯3 歯の転位をみた1 例を経験したので報告する。患児は11 歳7 か月の男児で,下顎左側第一小臼歯の異所萌出を主訴に来院した。パノラマエックス線写真所見より下顎左側犬歯,第二小臼歯が顎骨内に埋伏し,歯冠周囲に透過像を認めた。これらの透過像は,根管治療が施されている下顎左側第一乳臼歯の根付近および萌出している第一小臼歯の歯根周囲の透過像と連続していた。歯科用コーンビームCT(Cone Beam Computed Tomography(CBCT))所見では嚢胞様透過像の中に小塊状の不透過像が認められた。処置は全身麻酔下で嚢胞の摘出を行った。嚢胞は病理組織学検査にて含歯性嚢胞と診断された。術後は犬歯,第二小臼歯ともに萌出した。本症例は,埋伏している下顎左側犬歯歯冠部から第一大臼歯近心側までの範囲に嚢胞が拡がっており,萌出途中の第一小臼歯の歯根周囲から根尖部にまで達していた。そのため,当初は保存を検討していた第一小臼歯を抜去して嚢胞摘出術を施行した。嚢胞に対する治療法は,その位置や形状,埋伏歯の状態を含めた様々な要因を考慮して選択する必要がある。

収録刊行物

  • 小児歯科学雑誌

    小児歯科学雑誌 52 (1), 69-76, 2014

    一般財団法人 日本小児歯科学会

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