微量早期摂取による耐性促進効果

  • 岡田 悠
    国立病院機構相模原病院小児科
  • 柳田 紀之
    国立病院機構相模原病院小児科
  • 佐藤 さくら
    国立病院機構相模原病院臨床研究センターアレルギー性疾患研究部
  • 海老澤 元宏
    国立病院機構相模原病院臨床研究センターアレルギー性疾患研究部

書誌事項

タイトル別名
  • Acceleration of tolerance induction effect by avoiding complete elimination

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抄録

食物アレルギーの管理として,安全な範囲で少量を摂取する試みが行われてきた.しかし,少量摂取によって耐性獲得が誘導されるかについては明らかとなっていない.本稿では,当科での研究をもとに微量早期摂取による耐性促進効果について論じていく.1) 卵黄つなぎの早期導入:卵黄つなぎの摂取を0-1歳で開始すると,2-3歳で開始する児と比べて,5歳時点での加熱全卵1個の耐性獲得率が高かった.2) 牛乳・小麦の微量導入:微量負荷試験陰性1年後,牛乳約1割,小麦約3割の児が,耐性獲得した.3) 少量導入療法:微量負荷試験陽性症例に対して,少量を維持量とした経口免疫療法を行った.少量導入療法開始1年後,牛乳約3割,鶏卵約5割,ピーナッツ約10割の児が中等量耐性獲得となった.小麦は,約6割の児が少量耐性獲得となった.当科での研究から,どの年齢においても完全除去を回避する戦略により耐性獲得が促進される可能性が示唆された.しかし,自然寛解と比較してどうなのかを今後前向き試験によって検討をしていく必要がある.

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参考文献 (10)*注記

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