自己修復材料の研究開発の現状と期待される展開

  • 新谷 紀雄
    独立行政法人 物質·材料研究機構 先端材料プロセスユニット

書誌事項

タイトル別名
  • The State of the Art of R&D of Self-Healing Materials and Expected Development
  • ジコ シュウフク ザイリョウ ノ ケンキュウ カイハツ ノ ゲンジョウ ト キタイ サレル テンカイ

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抄録

宇宙機器や戦闘機などの破損は重大事故につながり,応急処置も困難であるため,これらに使用される先端材料の自己修復は喫緊の課題となり,研究開発プロジェクトが米国において着手され,いままでにない自己修復法が開発された.代表的なものとして,修復剤を内包させたカプセルを分散させる方法があり,多くの高分子材料に適用できるので,期待が広がった.これらの自己修復材料はコストを度外視して開発されたため,民生用へのスピンオフは困難であったが,わが国においては,自動車の車体のコーティングの擦り傷の自己修復法が実用化され,市場化された.このような新たな技術開発や市場化を視野に入れた応用開発は,自己修復材料は安全を維持するのに必要な基盤技術として改めて認識されるようになり,また,生活を快適にする手段としても期待されるようになった.今後は,先端分野だけでなく,インフラやプラントなどの社会や産業を支える分野でも,また,医療などの先端分野でも自己修復材料は欠かせない材料になっていくと思われる.

収録刊行物

  • 日本画像学会誌

    日本画像学会誌 54 (3), 206-212, 2015

    一般社団法人 日本画像学会

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