書誌事項
- タイトル別名
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- Discovery and development of alectinib hydrochloride (ALECENSAR capsule 20 mg and 40 mg)
- 新薬紹介総説 アレクチニブ塩酸塩(アレセンサ カプセル20mg,同40mg)の創製とその開発
- シンヤク ショウカイ ソウセツ アレクチニブ エンサンエン(アレセンサ カプセル 20mg,ドウ 40mg)ノ ソウセイ ト ソノ カイハツ
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抄録
アレセンサ®カプセル20 mg,同40 mgは,中外製薬株式会社で創製された選択的ALK(anaplastic lymphoma kinase)阻害薬であるアレクチニブ塩酸塩を有効成分とする硬カプセル剤である.非小細胞肺がんの中の2~5%ではALK融合遺伝子が発現しており,その遺伝子産物であるALK融合タンパク質に起因する恒常的なALKからのシグナルが,がん細胞の増殖,生存に深く関与していると考えられている.アレクチニブは,ALKのキナーゼ活性を選択的に阻害することにより,ALK融合遺伝子陽性非小細胞肺がん株NCI-H2228細胞に対してin vitroで細胞増殖阻害活性を示した.また,NCI-H2228細胞移植マウスゼノグラフトモデルにアレクチニブを1日1回,11日間経口投与することで,腫瘍の退縮をもたらす強い抗腫瘍効果が認められた.さらに,既存ALK阻害薬であるクリゾチニブの耐性機序の1つとしてL1196M,C1156Y,G1269AなどのALKのキナーゼドメインの変異が報告されているが,アレクチニブはこれらの変異ALKに対してin vitroおよびin vivoで阻害作用を示すことが確認された.ALK融合遺伝子陽性の非小細胞肺がん患者を対象にした第Ⅰ/Ⅱ相臨床試験(AF-001JP試験)では,第Ⅰ相部分でアレクチニブの推奨用量を決定し,第Ⅱ相部分において推奨用量でのアレクチニブの有効性,安全性が検討された.その結果,第Ⅱ相部分の46例中,完全奏効9例を含む43例に奏効が認められ,奏効率は93.5%(95%信頼区間:82.1~98.6)であった.主な副作用は血中ビリルビン増加,味覚異常,AST増加,血中クレアチニン増加,発疹,便秘,好中球数減少,ALT増加等であったが,多くはグレード1あるいは2であり,アレクチニブの忍容性が確認された.AF-001JP試験の成績に基づき,アレクチニブ塩酸塩は本邦において2014年7月4日に「ALK融合遺伝子陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌」を効能・効果として承認された.現在,米国・欧州を含む海外においても開発が進められている.
収録刊行物
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- 日本薬理学雑誌
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日本薬理学雑誌 145 (6), 318-324, 2015
公益社団法人 日本薬理学会
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390282679250766208
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- NII論文ID
- 130005075731
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- NII書誌ID
- AN00198335
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- ISSN
- 13478397
- 00155691
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- NDL書誌ID
- 026517379
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- PubMed
- 26063155
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- 本文言語コード
- ja
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- データソース種別
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- JaLC
- NDL
- Crossref
- PubMed
- CiNii Articles
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可