活性化造血幹細胞における血管内皮抗原ESAMの役割

  • 数藤 孝雄
    大阪大学大学院医学系研究科 血液・腫瘍内科学 りんくう総合医療センター 血液内科
  • 横田 貴史
    大阪大学大学院医学系研究科 血液・腫瘍内科学
  • 金倉 譲
    大阪大学大学院医学系研究科 血液・腫瘍内科学

書誌事項

タイトル別名
  • Role of endothelial antigen ESAM in activated hematopoietic stem cells
  • カッセイカ ゾウケツ カンサイボウ ニ オケル ケッカン ナイヒ コウゲン ESAM ノ ヤクワリ

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抄録

成体ではほとんどの造血幹細胞は細胞周期において静止状態にあるが,骨髄抑制が生じると速やかに反応し活性化状態に移行する。造血幹細胞はその状態の変化に応じて,表面抗原の発現様式を変化させる。本研究において我々は,血管内皮抗原ESAMが定常状態から活性状態への移行に伴って,造血幹細胞上で顕著に発現上昇することを見出した。ESAM高発現造血幹細胞は,細胞周期が活性化していると同時に高い長期造血再構築能力を示し,その多くは血管内皮近傍に存在しており,血管内皮細胞との緊密な関係が示唆された。ESAM欠損マウスでは骨髄抑制後の造血回復が顕著に遅延したことから,ESAMは活性化造血幹細胞において機能的にも重要な分子であると考えられた。以上より,造血幹細胞が発現するESAMは,増殖状態を反映する指標として有用であるのみならず,造血幹細胞活性化時の分子機構を解析する上でも重要であることが示された。

収録刊行物

  • 臨床血液

    臨床血液 56 (5), 464-474, 2015

    一般社団法人 日本血液学会

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