老化に伴う血管石灰化機構

  • 中神 啓徳
    大阪大学大学院医学系研究科健康発達医学寄附講座

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タイトル別名
  • Molecular mechanism of vascular calcification with aging

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抄録

要約:動脈硬化の進展とともに血管局所での骨分化関連分子の発現増加が観察される.また,血管石灰化スコアが心血管イベント発症とよく相関することから,血管老化に伴う血管石灰化の分子機構が注目されている.慢性腎臓病患者で血管石灰化がよく観察されるが,腎臓からのリン排泄障害により過剰状態となるため,続発性副甲状腺ホルモン亢進から骨粗鬆症や血管石灰化を助長すると考えられる.また,高血圧患者でも同様に一般に尿中カルシウム排泄量増加により続発性副甲状腺ホルモン亢進から骨粗鬆症を助長することも知られている.加えて,われわれは血管局所でのレニン・アンジオテンシン系およびRANKL(receptor activator for Nuclear Factor kappa B ligand / osteoclast differentiation factor: ODF)システムが血管石灰化形成に関連することを見出した.このように加齢に伴う血管石灰化は臓器連関や分子間クロストークなどにより進行すると考えられるが,その制御機構の解明および介入試験によるベネフィットなど今後の発展を期待したい.

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参考文献 (14)*注記

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