EVAR 術後に微小塞栓症による腸管虚血をきたした1例

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タイトル別名
  • Microembolization of the Sigmoid Colon after Endovascular Aneurysmal Repair (EVAR)

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抄録

症例は90歳男性.最大横径73 mmの腹部大動脈瘤に対してステントグラフト内挿術を施行した.遠位弓部から腹腔動脈レベルまでのB型大動脈解離も伴い,両側ともに,総腸骨動脈には壁在血栓を,外腸骨動脈には高度の石灰化を伴う蛇行を認めた.左大腿動脈よりメインボディを挿入し,対側脚は右総腸骨動脈で固定させた.右末梢よりtype Ibエンドリークを認めたため,脚デバイスを追加したが,この際,デバイスを進めるのに難渋した.術直後より右足趾の網状斑と腹痛,下血を認めたため,虚血性腸炎と判断し,保存的加療を行った.症状はいったん消失したが,術後9日目に症状再燃し,10日目の腹部レントゲン検査でfree airを認めたため,同日,緊急手術を施行した.審査腹腔鏡でS状結腸に散在性の全層壊死と穿孔を認めたため,開腹し腸管切除および人工肛門造設を行った.切除標本の病理所見では腸管壁内にコレステロール結晶を認めた.腸管切除後の経過は比較的良好で,術後6日目より経口摂取,8日目より歩行リハビリを開始し,術後5週目に自立歩行下に自宅退院となった.

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