固体表面からの芽胞の脱離性に及ぼす残存乳成分の影響

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タイトル別名
  • Effects of Residual Milk Components on the Removability of Spores from Solid Surfaces
  • コタイ ヒョウメン カラ ノ ガホウ ノ ダツリセイ ニ オヨボス ザンソン ニュウセイブン ノ エイキョウ

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抄録

食品製造機器表面に芽胞が残存した場合,栄養細胞よりも熱や薬剤の殺菌処理に耐性が強いため,対処が困難になる危険性が高い.本研究では,食品の例として牛乳に懸濁した状態でステンレス鋼平板およびポリプロピレン平板上で乾燥された芽胞に対して水による攪拌洗浄実験を行い,その付着性の強さについて検討した.乳脂肪分含量のみが異なる乳製品と共存した場合,洗浄後の芽胞残存率は乳脂肪含量に関わらず低レベルであった.希釈した牛乳に芽胞を懸濁して同様に付着・洗浄実験を行ったところ,共存する牛乳の濃度が減少すると洗浄後の芽胞残存率が増加した.したがって,両素材平板に対する芽胞の付着力は本来強いが,脂肪以外の乳成分が共存すると芽胞の付着力を弱めて脱離性が高まることが示された.そこで,脱離性に及ぼす乳成分の影響を検討するために,ホエイパウダーおよび乳糖の水溶液に芽胞を懸濁して同様の実験を行った.その結果,共存するホエイの固形分濃度が増加すると洗浄後の残存率は減少したが,乳糖の場合には濃度に関わらず芽胞残存率は高いレベルのまま一定であった.以上の結果,ホエイ中のタンパク質は芽胞の付着力を弱めるのに対して,乳糖は付着力に影響を与えないことが示された.

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