超音波ガイド下胸部傍脊椎ブロック後に胸壁血腫をきたした症例

  • 本山 泰士
    神戸大学医学部附属病院麻酔科・ペインクリニック科
  • 佐藤 仁昭
    神戸大学医学部附属病院麻酔科・ペインクリニック科
  • 高雄 由美子
    神戸大学医学部附属病院麻酔科・ペインクリニック科
  • 溝渕 知司
    神戸大学医学部附属病院麻酔科・ペインクリニック科

書誌事項

タイトル別名
  • A case of extra-pleural hematoma after the ultrasound-guided thoracic paravertebral block
  • 症例 超音波ガイド下胸部傍脊椎ブロック後に胸壁血腫をきたした症例
  • ショウレイ チョウオンパ ガイド カ キョウブ ボウ セキツイ ブロック ゴ ニ キョウヘキ ケッシュ オ キタシタ ショウレイ

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抄録

今回われわれは,血液凝固能に問題がなく抗凝固薬の投与も行われていない患者で,超音波ガイド下胸部傍脊椎ブロック(thoracic paravertebral block:TPVB)施行後に胸壁血腫をきたした症例を経験した.症例は85歳,女性.初診の2カ月前に発症した右胸部の帯状疱疹後の痛みで当科紹介受診となった.特記すべき既往はなかった.胸部硬膜外ブロックでの治療を計画し試みたが,強い脊椎の変形のため穿刺が困難であり,以降はTPVBで治療を行い,痛みは改善傾向であった.7回目のTPVBでの治療を終え,安静ののちに帰宅を許可したが,TPVB施行3時間後に胸部痛が出現し増悪したために外来へ再診した.胸部X線写真と造影CTで右胸部背側に巨大な血腫を認め,緊急血腫除去術を行うこととなった.術中所見では胸膜に損傷はなく,出血点もはっきりしたものはわからなかったが,穿刺時の肋間動脈の損傷によるものと推測された.術後経過は順調で,術後5日目に退院となった.TPVBの合併症で出血に関する報告は少ないが,超音波ガイド下でも起こり得ることを念頭に置き,痛みの改善とともに速やかに適応を再評価する必要がある.

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