<b>ビフィズス菌を利用した固形がん治療の試み </b>

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  • <b>Challenge to Solid Cancer Treatment Using </b><b><i>Bifidobacterium </i></b>

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抄録

近年のがん分子標的治療薬の開発は目覚ましく注目の的となっている。しかし、がん細胞形質の不安定性のため細胞集団は不均一であり、薬剤耐性、転移形質を獲得した細胞が出現する。それ故に充分な治療は困難であり、状況は従来のがん化学療法と類似している。従って、個々の細胞の特異性を模索することに加え、がん組織の微小環境の特異性に着目し集団丸ごと攻撃する標的治療法が必要と考えられる。私達は、がん細胞の不均一性を克服するために固形がん組織の特徴である低酸素状態に着目し、これを標的として大量の薬剤を運び込むDrug Delivery and Production System (DDPS) の開発を進めている。この運び屋およびミクロ工場として非病原性で嫌気性であるビフィズス菌を用いた。シトシンデアミナーゼを組み込んだ発現ベクターを菌内に導入することによって、制がん剤5FU の前駆体で低毒性の5FC(シトシン)を活性化し、5FU(ウラシル)を産生する系を構築した。この系による制がん実験の結果、副作用が極めて軽度で抗腫瘍性を示すことができた。ビフィズス菌を血管内投与する試みは安全性の面から疑問視されてきたが、私達はその安全性を動物試験で確かめ臨床試験に至った。

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