消化器症状を伴わず急速に多臓器不全が進行した非チフス性サルモネラ敗血症の1例

書誌事項

タイトル別名
  • A case of non-typhoidal Salmonella bacteremia who rapidly developed multiple organ dysfunction without gastroenteritis
  • 症例報告 消化器症状を伴わず急速に多臓器不全が進行した非チフス性サルモネラ敗血症の1例
  • ショウレイ ホウコク ショウカキ ショウジョウ オ トモナワズ キュウソク ニ タゾウキ フゼン ガ シンコウ シタ ヒチフスセイ サルモネラ ハイケツショウ ノ 1レイ

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抄録

既往のない40歳代の高度肥満男性(BMI 57)が,10日前から食思不振が出現し,徐々に体動困難になったため当院に救急搬送された。経過中に下痢や嘔吐といった消化器症状は認めなかった。来院時JCSⅠ-1,呼吸40回/ 分,脈拍152回/ 分,血圧120/62mmHg,体温37.0℃,SpO2 88%(6L/分 酸素マスク)であったが,救急外来で呼吸循環動態が悪化し,気管挿管,人工呼吸器管理を開始した。胸部CT で肺炎像を認め,重症敗血症による多臓器障害と診断し,抗菌薬はピペラシリン(Piperacillin,以下PIPC)およびクリンダマイシン(Clindamycin,以下CLDM)を選択しSurviving Sepsis Campaign guideline(国際敗血症ガイドライン2012)における初期蘇生目標を指標に集中治療を開始した。循環動態は安定したが,第4病日には乏尿となり持続血液濾過透析を導入した。同日,来院時の血液および喀痰培養検査からサルモネラ属が同定され,抗菌薬をシプロフロキサシン(Ciprofloxacin,以下CPFX)へ変更したが,多臓器障害は進行し,第7病日に死亡した。培養結果はSalmonella enteritidis O-9群であった。消化器症状を伴わない非チフス性サルモネラ敗血症は高率に免疫不全を合併するとされているが,本症例では高度肥満の関与以外に免疫不全を呈する病態は明らかでなかった。

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