RAにおけるIL-6の役割とトシリズマブの重要性

DOI
  • 駒井 俊彦
    東京大学医学部附属病院アレルギーリウマチ内科
  • 藤尾 圭志
    東京大学医学部附属病院アレルギーリウマチ内科
  • 山本 一彦
    東京大学医学部附属病院アレルギーリウマチ内科

書誌事項

タイトル別名
  • The roles of IL-6 and tocilizumab in rheumatoid arthritis

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抄録

   関節リウマチではTNF-αやIL-6などの炎症性サイトカインが病態形成に関与しているとされる.IL-6は細胞膜結合型受容体を介したクラシカルシグナリングと可溶性受容体を介したトランスシグナリングというシグナル伝達様式をもち,多面的な生理機能,多様な病態形成に関わっている.このようなIL-6が形成する関節リウマチ病態に対して,抗IL-6受容体抗体トシリズマブはシグナル伝達を阻害し,治療薬として臨床的・機能的・構造的寛解をもたらす効果がある.関節リウマチの病態は未だ解明されていないが,IL-6の多面的な機能としての,ケモカインや接着因子発現の誘導による炎症細胞浸潤の促進,血管新生,RANKL発現やMMP産生による関節の破壊,Th17細胞分化,形質芽球分化などが病態に関与している可能性が報告されている.関節リウマチではこうしたIL-6を介した病態機序により滑膜炎を生じ,滑膜組織の増殖によるパンヌス形成や骨びらんの形成,軟骨変性,血管新生などを起こすと考えられるため,トシリズマブは関節リウマチ治療における重要な治療薬として期待される.

収録刊行物

  • 臨床リウマチ

    臨床リウマチ 25 (3), 192-197, 2013

    一般社団法人 日本臨床リウマチ学会

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