限局型中等度慢性歯周炎に対して歯周組織再生療法を施行した症例

DOI
  • 窪川 恵太
    松本歯科大学歯科保存学講座
  • 海瀬 聖仁
    松本歯科大学歯科保存学講座
  • 三木 学
    松本歯科大学歯科保存学講座
  • 岩井 由紀子
    松本歯科大学歯科保存学講座 松本歯科大学大学院 健康増進口腔科学講座 口腔分析学ユニット 歯周病学
  • 石岡 康明
    松本歯科大学歯科保存学講座 松本歯科大学大学院 健康増進口腔科学講座 口腔分析学ユニット 歯周病学
  • 尾﨑 友輝
    松本歯科大学大学院 健康増進口腔科学講座 口腔分析学ユニット 歯周病学
  • 上條 博之
    松本歯科大学歯科保存学講座
  • 内田 啓一
    松本歯科大学歯科放射線学講座
  • 田口 明
    松本歯科大学歯科放射線学講座
  • 山下 秀一郎
    東京歯科大学口腔健康臨床科学講座
  • 吉成 伸夫
    松本歯科大学歯科保存学講座 松本歯科大学大学院 健康増進口腔科学講座 口腔分析学ユニット 歯周病学

書誌事項

タイトル別名
  • A Case Report of a Localized Moderate Chronic Periodontitis Patient Who Underwent Periodontal Regeneration Therapy with a Bone Graft

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抄録

 目的 : 現在, わが国において施行される歯周組織再生療法は, 骨移植術, 歯周組織再生誘導 (Guided Tissue Regeneration : GTR) 法, エナメルマトリックスタンパク質の応用の3療法である. 今回, 咬合性外傷により悪化したと推察される限局型中等度慢性歯周炎患者に対し, 骨移植 (β-Tricalcium Phosphate : β-TCP) を伴用したGTR法を施行し, 良好な結果が得られた症例を報告する. <br> 症例 : 患者は58歳 (初診時), 女性. 上顎右側犬歯部からの歯肉出血を主訴として, 近在歯科医院から歯周組織再生療法施行依頼により紹介されて来院した. 口腔内既往歴は, 1975年 (27歳) から, う蝕による修復および補綴処置を繰り返し受けていた. 初診時の平均プロービングデプス (Probing Depth : PD) は3.6mm, PD 4mm以上の部位率は43.5%, プロービング時の出血 (Bleeding on Probing : BOP) 率は28.3%であった. O’LearyのPlaque Control Recordは60.8%であり, 口腔清掃状態は不良であった. 辺縁歯肉には著明な炎症は認められず, 上顎前歯部にうっ血を認める程度であった. 歯列咬合所見として, 上顎臼歯部欠損に伴う下顎咬合平面の乱れがみられ, 13に早期接触を認めた. 前歯部の被蓋関係は, オーバージェット : 2mm, オーバーバイト : 3mmであった. エックス線所見として, 13, 22に高度な垂直性歯槽骨吸収, 47の根分岐部病変, および48根尖部に透過像を認めた. 通法どおり歯周基本治療を開始し, 再評価検査後13に残存したPD 4mm以上の部位に対し, 歯周組織再生療法を施行した. その後, 依頼歯科医院にて継続治療の予定であったが, 患者が本学における包括的な歯科治療を希望したため, 依頼医と相談のうえ, 治療計画を修正し, 以後の処置を施行した. 現在, 術後6年経過し歯周組織は安定しているが, 47舌側中央部にBOPは認められないもののPD 5mmの歯周ポケットと根分岐部病変が残存しているため, Supportive Periodontal Therapyを継続している. <br> 結論 : 高度な垂直性歯槽骨欠損部に対し, 骨移植術とGTR法併用の歯周組織再生療法を施行した結果, 歯周外科処置後6年経過して, 歯周組織には骨再生所見がみられ, 経過は安定している.

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