内視鏡的食道粘膜切除術と胃亜全摘術を施行した食道と胃の同時性早期重複癌の1例

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  • A Case of Early Esophageal and Gastric Cancer Treated by Endoscopic Mucosal Resection (EMR) and Subtotal Gastrectomy

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抄録

早期癌患者で全身状態は良好であるにもかかわらず,精神障害や老人性痴呆を併存しているために,手術適応が問題となることがある。今回,食道と胃の同時性早期重複癌の患者で,夜間譫妄と老人性痴呆を併存し,胃癌に対しては開腹手術を,食道癌に対しては内視鏡的切除を施行し,良好な結果が得られたので報告する。症例は69歳男性。約30年前から躁鬱病の診断で投薬を受けていた。平成4年3月頃から上腹部不快感を自覚し,近医を受診した。上部消化管内視鏡検査で,切歯より35cmの食道に約1/3周を占める早期癌を,さらに胃角小彎側にⅡc+Ⅲ型早期癌を認め,手術目的で当科に入院した。一期的開胸開腹手術は困難と考え,胃癌に対し胃亜全摘術を行い,術後第20病日に経内視鏡的食道粘膜切除術を施行した。高齢化し複雑化する社会で,今後,老人性痴呆や精神障害が併存する食道癌症例が増加すると予想される。自験例における内視鏡的粘膜切除術は,社会的適応を考慮した治療法として重要と思われたので報告する。

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