Lemmel症候群の経過観察中に発生した中部胆管癌の1例

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  • A Case of the Carcinoma of Proximal Ductus Choledochus Occurring 2 Years and 5 Months after the Symptoms due to Lemmel's Syndrome

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抄録

症例は77歳の男性で,糖尿病の既往がある。心窩部痛,嘔気,嘔吐,タール便を主訴に来院し,閉塞性黄疸の出現で,経皮経肝胆囊ドレナージ術(PTGBD)を施行した。ERCPの際に傍乳頭憩室を認め,精査上他に著変を認めなかったことから,Lemmel症候群と診断した。抗生剤投与で改善した。約2年5ヵ月後に再度閉塞性黄疸で来院した。Lemmel症候群再発と考えてPTGBDを施行したが,減黄されず,経皮経肝胆道ドレナージ術を追加して,中部胆管癌の診断を得た。総胆管・総肝管切除術を行い,膵内胆管拔去部にLinac計44Gyを照射し,その後UFT750mg/日を外来で投与中である。本邦のLemmel症候群報告例86例で検討すると,うち10例が糖尿病を合併しており,Lemmel症候群発症への糖尿病関与を示唆する。またLemmel症候群の82.6%は手術療法を受けているが,保存的療法で経過観察を行う際には,胆管癌の発生にも配慮する必要を痛感した。

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