広範な壊死を認めた胸腺腫の1例

書誌事項

タイトル別名
  • A case of thymoma with extensive necrosis

この論文をさがす

抄録

症例は52歳女性.左前胸部痛と発熱で発症し,胸部異常陰影を指摘され当科紹介となった.胸部CTで左前縦隔に5 cm大の全周性に不整な壁肥厚を伴った囊胞性腫瘤陰影と左胸水貯留が認められた.胸痛・発熱は数日で自然軽快し,それとともに左胸水貯留も消失した.胸腺腫や奇形腫が疑われ,診断・治療目的に胸骨正中切開で胸腺胸腺腫瘍摘出術が施行された.病理検査では,腫瘍は明瞭な被膜に囲まれ,割面は黄白色充実性を呈し,腫瘍の95%以上が壊死に陥っていた.辺縁の一部にviableな腫瘍組織が存在し,Type B1の胸腺腫で,正岡分類はI期と診断された.術後2年経過するが再発はみられていない.胸腺腫は壊死や出血,囊胞形成などさまざまな病理像がみられる特徴を有するが,広範囲にわたり壊死所見を呈した胸腺腫は稀であり,文献的考察を加えて報告する.

収録刊行物

参考文献 (4)*注記

もっと見る

キーワード

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ