Sonazoid造影超音波を用いた肝臓の組織進展度診断

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タイトル別名
  • Use of Sonazoid-enhanced ultrasonography in histopathological staging of the liver

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抄録

肝臓は他の臓器と異なり,門脈と肝動脈という2つの血管から血液が供給されている.その流入血液量の割合は約7‐8割が門脈由来で肝細胞に栄養や様々な物質を供給し,約2‐3割が肝動脈由来で主に胆道系の栄養を司っている.動脈圧が100 mmHg以上であるのに対し,門脈圧は6‐8 mmHgときわめて低圧であるがゆえに肝病変の影響を受けやすい.肝臓はこのような2本の供給血管で賄われているが,例えばC型肝炎ウイルスに罹患すると,肝細胞の壊死・脱落・線維化を繰り返し,慢性肝炎から肝硬変へと病期が進展するに従い,門脈血流は低下し,それを補うが如く肝動脈血流が増加する.すなわち,門脈と肝動脈の肝血流バランスは病期進行に従い門脈優位から肝動脈優位へと変化するわけである.その肝血流バランスの変化を画像診断で定量的に評価が可能であれば,C型慢性肝疾患の病変進展度合いを非侵襲的に把握ができ,インターフェロン治療開始時期や合併症発現などの推測ができるため臨床的に役に立つ.筆者らはこれら肝栄養血流の動態を造影超音波(arrival-time parametric imagingingなど)で解析し,肝疾患の病態理解に役立てているため,その最新事情につき紹介する.

収録刊行物

  • 超音波医学

    超音波医学 42 (4), 525-532, 2015

    公益社団法人 日本超音波医学会

参考文献 (12)*注記

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