鰓弓軟骨発生模型の製作

DOI
  • 有馬 陽介
    広島大学大学院 医歯薬学総合研究科 口腔健康科学講座
  • 本多 宏美
    広島大学大学院 医歯薬学総合研究科 口腔健康科学講座
  • 弘瀬 公美子
    広島大学大学院 医歯薬学総合研究科 口腔健康科学講座
  • 下江 宰司
    広島大学大学院 医歯薬学総合研究科 口腔健康科学講座
  • 里田 隆博
    広島大学大学院 医歯薬学総合研究科 口腔健康科学講座

書誌事項

タイトル別名
  • A hand-made model for embryological instruction of the branchial cartilages

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抄録

頭頸部の骨格の形成は非常に複雑で、神経頭蓋、耳殻、膜性骨および内臓頭蓋より形成される。神経頭蓋は主として頭蓋底の部分を形成し、膜性骨は頭蓋冠などを作る。内臓頭蓋は鰓弓(咽頭弓)を支える。ヒトにおいては発生初期に6対の鰓弓軟骨が形成される。第一鰓弓軟骨は、メッケル軟骨と呼ばれ、下顎軟骨と口蓋方形軟骨となり原始顎関節を形成する。第二鰓弓軟骨はライヘルト軟骨と呼ばれ、アブミ骨、茎状突起、茎突舌骨靱帯、舌骨小角になる。第三鰓弓軟骨は舌骨大角になる。第五鰓弓軟骨は痕跡的で、第四および第六鰓弓軟骨より、甲状軟骨、輪状軟骨、披裂軟骨が形成される。哺乳類においては、下顎軟骨のまわりを皮膚由来の膜性骨が覆い下顎骨が形成され、側頭骨との間に二次顎関節が形成される。そのため、原始顎関節は不要になり、鼓室輪に囲まれることにより中耳の中に取り込まれ、キヌタ・ツチ関節になる。一方、頭蓋を構成する骨は大部分が、膜性骨よりなるが、後頭骨および頸椎は、後頭椎板に由来する。また頭蓋底を構成する神経頭蓋は前索軟骨、下垂体軟骨、傍索軟骨よりなる。また内耳の構造を含む耳殻は側頭骨錐体の一部を構成する。このように頭部を構成する骨の発生過程は非常に複雑であるため、わかりやすい模型を作製した。  今回、白く塗った長方形の板に前索軟骨、下垂体軟骨、傍索軟骨、後頭椎板を配置し、その下に軟骨魚類において基本的な7つの鰓弓軟骨および6つの鰓孔を一定間隔で配置した。発達するにつれ大きくなることは、継ぎ足し方式で、第一・第二・第三鰓弓軟骨はヒモなどを用いることにより、発生過程を再現した。第四・第六鰓弓軟骨は甲状軟骨、輪状軟骨、披裂軟骨を順に連結させることによりひとかたまりとして置き、その変遷を表現した。この模型により、非常にわかりにくかった鰓弓軟骨の変遷過程を学生に効果的に説明することができた。

収録刊行物

  • 形態・機能

    形態・機能 11 (1), 10-16, 2012

    コ・メディカル形態機能学会

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