甲状腺転移をきたした腎細胞癌の2症例

DOI
  • 宮村 朋孝
    三重大学大学院医学系研究科耳鼻咽喉・頭頸部外科学教室
  • 竹内 万彦
    三重大学大学院医学系研究科耳鼻咽喉・頭頸部外科学教室

書誌事項

タイトル別名
  • TWO CASES OF RENAL CELL CARCINOMA METASTASIS TO THE THYROID GLAND

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抄録

甲状腺に他臓器の腫瘍が転移することは稀である。 今回, 腎癌の術後, 甲状腺転移をきたした2症例を経験したので報告する。 症例1は68歳男性。 12年前に右腎癌にて右腎摘出術を施行後, 甲状腺右葉の腫瘤の増大があり当科に紹介された。 吸引細胞診では核内細胞質封入体を認め乳頭癌が疑われ甲状腺右葉切除術を行った。 病理診断の結果は淡明腎細胞癌であり腎癌の転移と診断した。 症例2は52歳女性。 6年前に左腎癌に対し左腎摘出術を施行した。 術後の定期的なCT検査にて甲状腺腫瘤を認め当科に紹介となった。 吸引細胞診にて濾胞性病変であり悪性所見を認めず経過観察となっていたが増大傾向があり甲状腺峡部切除術を行った。 病理診断の結果は淡明腎細胞癌であり腎癌の転移と診断した。<br> 腎癌の症例では長期間経過してからも遠隔転移をきたす可能性があり甲状腺腫瘤であっても転移を念頭におく必要がある。 治療は, 可能であれば転移巣の切除が第一選択になる。 また, 遠隔転移の切除により有意に生存率が延長とされるとの報告があり, 頭頸部領域への遠隔転移でも積極的な切除が望まれる。

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