遺伝性球状赤血球症の病因としてのband 3異常症

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タイトル別名
  • Band 3 deficiency as a cause of hereditary spherocytosis
  • イデンセイ キュウジョウ セッケッキュウショウ ノ ビョウイン ト シテ ノ band3 イジョウショウ

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抄録

膜蛋白band 3は,全赤血球膜蛋白の25~30%と最も多くを占め,その異常は遺伝性球状赤血球症(HS), 東南アジアの楕円赤血球症,遠位尿細管性アシドーシスなどの病態と密接に関連している。日本人のHS症例における赤血球膜蛋白解析では,約20%にband 3蛋白の減少を認め,そのほとんどでSLC4A1遺伝子変異が同定されている。HSの病因としてのband 3 (B3)異常症の理解は,わが国で発見されたB3完全欠損症(黒毛和種牛),B3 Fukuoka, B3 Okinawaなどによって深まったと言っても過言ではない。現在,HSのスクリーニングとして最も有用な検査が赤血球eosin-5-maleimide (EMA)結合能測定である。我々は,直接EMAが結合しないankyrinなどの膜蛋白欠損例や膜蛋白異常未検出例においても,HS症例であればEMA結合能が低下することを証明した。ただし遺伝性楕円赤血球症であっても部分spectrin欠損例ではEMA結合能低下を認めることが判明した。これらの7例中6例では,赤血球形態はspherocytic elliptocytosisであり,診断の際に注意が必要である。

収録刊行物

  • 臨床血液

    臨床血液 56 (7), 837-845, 2015

    一般社団法人 日本血液学会

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