乳癌におけるFascinタンパク質発現の検討

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  • FASCIN PROTEIN EXPRESSION IN BREAST CANCER
  • ニュウガン ニ オケル Fascin タンパクシツ ハツゲン ノ ケントウ

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抄録

予後不良のTriple Negative Breast Cancer(TNBC)はホルモン感受性がないために標的治療薬が確立されていない.また近年,TNBCがbasal-like1(BL1),basal-like2(BL2),immunomodulatory(IM),mesenchymal(M),mesenchymal stem-like(MSL),luminal androgen receptor(LAR)の6種類に亜分類されたことから,各サブタイプにおける標的ターゲットを確定することが望まれている.今回われわれは乳癌90症例を用いて乳癌の進行度と関連するアクチン結合タンパク質Fascinの発現を解析した.さらにTNBC 22症例についてはbasal like typeとnon- basal like typeに分類しFascinの組織特異的な発現を検討した.乳癌90症例のうちFascin陽性率はLuminal Aで0%,Luminal B (human epidermal growth factor receptor 2(HER2)negative)6%,Luminal B(HER2 positive)14%,HER2 positive(non luminal) 13%,TNBCは73%であった.また,TNBC 22症例で臨床病理学的因子との関係ではFascin陽性乳癌はKi-67 indexが30%以上の腫瘤が有意に多く,悪性度の高さが示された.TNBC亜分類のbasal like typeのFascin発現率はnon- basal like typeよりも高かった.以上のことからFascinタンパク質発現とTNBC basal like typeの関係が明らかとなった.FascinはTNBCにおける悪性度や予後予測の新たな診断基準となり,TNBC治療ターゲットになる可能性が示唆された.

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