過小グラフト症候群様の経過をたどり近位脾動脈塞栓術が有効であった小児生体部分肝移植後の1例

書誌事項

タイトル別名
  • A Case Similar to Small-for-size Syndrome Successfully Treated by Proximal Splenic Artery Embolization After Living-donor Liver Transplantation
  • 症例報告 過小グラフト症候群様の経過をたどり近位脾動脈塞栓術が有効であった小児生体部分肝移植後の1例
  • ショウレイ ホウコク カショウ グラフト ショウコウグン サマ ノ ケイカ オ タドリ キン イヒドウミャク ソクセンジュツ ガ ユウコウ デ アッタ ショウニ セイタイ ブブン カン イショク ゴ ノ 1レイ

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抄録

17 歳男性.原因不明の肝硬変に対し生体部分肝移植術を行った(左葉グラフト,GRWR 1.05).術後早期より胆汁うっ滞,凝固異常,多量の胸腹水,汎血球減少を認め,連日輸血を必要とした.移植後7 日の肝生検で胆汁うっ滞と小葉中心性肝壊死を認めた.超音波検査にて肝動脈の流速低下,拍動係数上昇を認め,過小グラフト症候群に類似した病態を呈していると考え,移植後37日に近位脾動脈塞栓術を行ったところ肝動脈血流は著明に改善した.肝機能は徐々に改善し,移植後93 日に軽快退院となった.過小グラフト症候群はグラフトのサイズが機能的な需要に対し不十分な状態で,門脈過還流が本態とされる.リスクが高い場合には予防的に脾摘や脾動脈結紮による門脈血流調節が行われる.本症例ではグラフト重量は充分で発症を予測できなかったが,診断的治療として血管造影,近位脾動脈塞栓術を施行し,低侵襲に状態を改善させることが可能であった.

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