先天性嗅覚障害と診断した16例の臨床像と MRI 所見

• 小河 孝夫

  滋賀医科大学耳鼻咽喉科

• 加藤 智久

  滋賀医科大学耳鼻咽喉科

• 小野 麻友

  滋賀医科大学耳鼻咽喉科

• 清水 猛史

  滋賀医科大学耳鼻咽喉科

書誌事項

タイトル別名

• Clinical and MRI Findings in Patients with Congenital Anosmia
• センテンセイキュウカク ショウガイ ト シンダン シタ 16レイ ノ リンショウゾウ ト MRI ショケン

抄録

当科を受診した先天性嗅覚障害16例について臨床的検討を行った. 診断は主に問診から行い, 診断補助としてMRI検査が有用であった. 20歳代までの受診が多く, 性差はなかった. 受診契機は, 自覚症状がなく家族など周囲から嗅覚障害を指摘され受診する症例が多く, 嗅覚については,「生来においを感じたことがない」という症例を多く認めた. 嗅覚障害に関連する合併症がない非症候性の先天性嗅覚障害の割合が81% (13例) と高く, 症候性の先天性嗅覚障害である Kallmann 症候群は19% (3例) であった. 基準嗅力検査は88% (14例) の症例でスケールアウトであったが, 検査上残存嗅覚があった症例も12% (2例) 認めた. アリナミンテストは実施した11例全例で無反応であった. MRI 検査による嗅球・嗅溝の定量化が診断に有用であった. 嗅球体積は, 0mm³～63.52mm³, 平均値10.20mm³, 嗅溝の深さは0～12.22mm, 平均値4.85mmで, 嗅球・嗅溝の形態異常を高率に認めた. 嗅球には, 両側または片側無形成例が69% (11例), 両側低形成例が25% (4例), 嗅溝は片側無形成例が6.7% (1例), 片側または両側低形成例は73% (11例) であった.<br>　先天性嗅覚障害患者に対する治療方法はないが, 適切な診断を行い嗅覚障害に伴う弊害を説明することと, 性腺機能不全の精査を考慮することが重要である.

収録刊行物

• 日本耳鼻咽喉科学会会報

  日本耳鼻咽喉科学会会報 118 (8), 1016-1026, 2015

  一般社団法人 日本耳鼻咽喉科学会

キーワード

• 先天性嗅覚障害
• MRI
• Kallmann 症候群
• 嗅球
• 嗅溝

詳細情報

• CRID: 1390001205011234560
• NII論文ID: 130005097221
• NII書誌ID: AN00191551
• DOI: 10.3950/jibiinkoka.118.1016
• ISSN: 18830854
• ISSN: 00306622
• NDL書誌ID: 026696881
• Web Site: https://ndlsearch.ndl.go.jp/books/R000000004-I026696881
• Web Site: https://www.jstage.jst.go.jp/article/jibiinkoka/118/8/118_1016/_pdf
• Web Site: https://search.jamas.or.jp/link/ui/2015357505
• 本文言語コード: ja
• データソース種別:
  • JaLC
  • NDL
  • Crossref
  • CiNii Articles
• 抄録ライセンスフラグ: 使用不可