日本病理剖検輯報からみた真菌症の疫学 - 2011 年 update

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タイトル別名
  • Epidemiology of Visceral Mycoses in Autopsy Cases in 2011
  • ニホン ビョウリ ボウケンシュウホウ カラ ミタ シンキンショウ ノ エキガク : 2011ネン update

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抄録

日本病理剖検輯報を対象として,2011 年 (第54輯) の解析を行った.全剖検例 12,339 例中,内臓真菌症は 608 例 (4.9 %) にみられ,その内訳は男性 411 例 (67.6 %),年齢中央値 67 歳,重篤例 353 (58.1 %).起因真菌では,Aspergillus 269 例 (44.5 %) と従来通り,Aspergillusが最も多くを占めた.2011 年の全般的な検索結果は,ここ数年と同様な頻度であった.なお,成人 T 細胞性白血病に続発した黒色真菌感染症の報告があった.内臓真菌症の基礎疾患をみると,上位から,固形癌 124 例 (20.4 %),白血病 83 例 (13.7 %),肺炎などの細菌感染症 69 例 (11.3 %),悪性リンパ腫 66 例 (10.9 %) とここ数年と同様であった.今回の検討では,真菌症例のうち,固形臓器移植関連のものが 12 例と 2005 年以降では最も多い.検索対象が,病理解剖例であり,重篤な基礎疾患患者が中心となるが,確定診断例であること,検索対象の母集団が大きいこと (剖検例の全国集計),同じ判断基準で定期的に知見の集積ができること,などは他に例がなく,追年的な疫学的傾向をみる貴重な研究対象であり,報告であると考える.

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