疾患特異的iPS細胞を用いた先天性心疾患の病態解明

  • 小林 純子
    岡山大学大学院 医歯薬学総合研究科 心臓血管外科
  • 佐野 俊二
    岡山大学大学院 医歯薬学総合研究科 心臓血管外科
  • 王 英正
    岡山大学病院 新医療研究開発センター 再生医療部

書誌事項

タイトル別名
  • Congenital Heart Diseases and Disease-specific iPS Cells

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抄録

2007年にヒト人工多能性幹(induced pluripotent stem: iPS)細胞の樹立に成功して以来,疾患特異的iPS細胞の研究が進められてきた.病態発生過程をin vitroで再現できる疾患特異的iPS細胞は,新たな疾患モデルとして病態解明や創薬のための利用が期待される.疾患特異的iPS細胞は心疾患モデルとしても多数樹立されてきたが,これまでは主に遺伝性の不整脈性疾患や心筋症から樹立されており,形態異常を伴う先天性心疾患からは樹立されてこなかった.最近,我々は左心低形成症候群(hypoplastic left heart syndrome: HLHS)由来の疾患特異的iPS細胞の樹立に成功した.遺伝子異常のみならず,遺伝子発現の低下やエピジェネティック制御の異常など,多数の因子が複雑に関与すると考えられる先天性心疾患の病態解明にも,疾患特異的iPS細胞は有用である可能性がある.本総説では,疾患特異的iPS細胞を用いた心疾患モデルの経緯を概説し,また疾患特異的iPS細胞による先天性心疾患の病態解明への可能性を検討する.

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参考文献 (64)*注記

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