胃癌幽門狭窄に対するステント留置後の医原性十二指腸穿孔の1例

DOI

書誌事項

タイトル別名
  • A Case of Iatrogenic Duodenal Perforation after Stent Placement for Gastric Cancer with Pyloric Stenosis

この論文をさがす

抄録

症例は86歳の男性で嘔吐を主訴に近医を受診し,内視鏡検査で幽門狭窄を伴うBorrmann3型の胃癌と診断された。腹部CT検査で腹膜播種が疑われたため,根治手術は困難と判断され,内視鏡的消化管ステント留置術が施行された。留置後4日目に腹痛が出現し,腹部CT検査で消化管穿孔が疑われて当科紹介となった。緊急手術を行い,腹腔内に多量の膿性腹水と胃前庭部を中心とした巨大な腫瘍,腹膜播種,さらに十二指腸球部に穿孔部が認められた。ステント遠位端の物理的接触による医原性の十二指腸穿孔と診断し,ステント抜去,穿孔部の縫合閉鎖,胃空腸バイパス術を行った。内視鏡的消化管ステント留置術は切除不能な悪性消化管狭窄に対する姑息的治療法の一つで,消化管バイパス手術と比べて低侵襲でQOL改善効果も遜色ないが,まれに穿孔や出血など致命的な合併症をまねくため注意を要する。

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ