鼠径ヘルニア嵌頓術後に子宮留膿腫穿孔から汎発性腹膜炎をきたした1例

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  • A Case of Panperitonitis Caused by Pyometra Perforation Following Surgery for a Strangulated Inguinal Hernia

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抄録

症例は80歳,女性。右鼠径ヘルニア嵌頓の診断で救急搬送され,緊急手術(腹腔鏡補助下ヘルニア根治術)を施行した。ヘルニア内容は小腸および大網であり,壊死の疑われた小腸と大網の部分切除を行った。術後は採血上,炎症所見が持続し,第7病日の腹部CTでDouglas窩膿瘍が疑われ,抗菌薬投与を継続した。しかし,第13病日に突然の腹痛をきたし,Douglas窩膿瘍増悪や縫合不全による汎発性腹膜炎の診断で緊急手術となった。開腹すると腹部全体に汚染腹水を認めた。骨盤内の検索により子宮留膿腫穿孔による汎発性腹膜炎であることが判明した。患者は子宮脱治療のリングペッサリーが長年装着されたままであり,それが子宮留膿腫の原因と考えられた。腹腔ドレナージ及び単純子宮全摘術を施行した。子宮脱予防や避妊のためのリングペッサリー長期留置症例は,子宮留膿腫やその穿孔の可能性に留意する必要があると考えられた。

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