僧帽弁逸脱症に対する弁形成術

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タイトル別名
  • Mitral Valve Repair for Patients with Mitral Valve Prolapse
  • ソウボウベン イツダツショウ ニ タイスル ベン ケイセイジュツ

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抄録

心臓弁膜症に対する外科治療は人工弁による弁置換術が主流であった.しかし,人工弁置換術を行えば,血栓塞栓症・出血・人工弁感染・人工弁劣化などの人工弁関連合併症は不可避となる.それに対して弁形成術はこれらの合併症が回避できるのみならず,内服薬も不要となり,健康人同様のQuality of Lifeを得ることも可能である.弁形成術は腱索再建術などより複雑な手技を要することや,逆流の残存や再発・増悪などの問題点もあるが,僧帽弁逸脱による僧帽弁閉鎖不全症は形成術のよい適応である.現在行われている手術術式としては人工弁輪による弁輪形成術を基本術式として,後尖逸脱に対しては矩形切除術・三角切除術などの弁尖切除術,収縮期前方運動(systolic anterior movement: SAM)予防のためのスライディング法などが,また前尖逸脱に対しては弁尖切除や腱索短縮術,後尖腱索の移動術などが行われていたが,近年ではePTFE(expanded polytetrafluoroethylene)糸を用いた人工腱索による腱索再建術が多く行われている.僧帽弁逸脱症に対する弁形成術の遠隔成績は人工弁置換術との比較検討にてその優位性が報告されており,再手術の頻度も弁置換術と変わらず10年で7-10%と良好である.

収録刊行物

  • Journal of UOEH

    Journal of UOEH 37 (3), 195-202, 2015-09-01

    学校法人 産業医科大学

参考文献 (19)*注記

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