鉄欠乏性貧血で発見されたJr<sup>a</sup>抗原陰性患者の1症例―当院輸血対策との関わり―

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タイトル別名
  • A case of rare blood type, Jr<sup>a</sup>-antigen-negative, in an iron deficiency anemia patient: Relationship with transfusion measures in our hospital

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抄録

症例は80歳女性,血液検査でHb 6.7 g/dLと重度の貧血を認めた。貧血の原因精査および輸血目的で入院となった。入院時検査所見より鉄欠乏性貧血と診断された。輸血検査結果は,血液型A型RhD陽性,不規則抗体スクリーニング陽性であった。スクリーニング血球との反応態度より,高頻度抗原に対する抗体の存在を疑い,血液センターに精査依頼した。その結果,患者はJra抗原陰性,同定抗体は抗Jraと報告された。鉄剤の内服投与により,貧血の改善傾向を認めたため,輸血は行わず経過観察となった。血液センターの協力のもと家系調査を実施した結果,子供はJra抗原陽性であった。Jra抗原陰性のような稀な血液型であるため,緊急時や大量の血液が必要とされる場合,抗原陰性血の緊急もしくは必要量の確保ができない可能性が想定される。これらの対応を,臨床側や血液センターとの連携をふまえて検討し,緊急輸血マニュアルを作成した。

収録刊行物

  • 医学検査

    医学検査 64 (4), 441-444, 2015

    一般社団法人 日本臨床衛生検査技師会

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