BD液状化検体細胞診用保存液における血液の影響に関する基礎的検討

DOI
  • 川西 なみ紀
    三原市医師会病院診療部臨床検査科 放送大学大学院文化科学研究科
  • 則松 良明
    放送大学大学院文化科学研究科 愛媛県立医療技術大学保健科学部臨床検査学科
  • 大﨑 博之
    愛媛県立医療技術大学保健科学部臨床検査学科
  • 坂東 史郎
    愛媛県立医療技術大学保健科学部臨床検査学科
  • 升野 博志
    愛媛県立医療技術大学保健科学部臨床検査学科
  • 田城 孝雄
    放送大学大学院文化科学研究科

書誌事項

タイトル別名
  • Effect of preservative solutions of BD liquid-based cytology on blood

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抄録

BDシュアパス法の保存液は婦人科用(シュアパスバイアル;Gyne)と非婦人科用に大別され,さらに非婦人科用保存液はサイトリッチレッド(Red)とサイトリッチブルー(Blue)の2種類が存在する。GyneとRedは溶血能と蛋白凝集抑制作用を有する。一方,Blueには溶血能や蛋白凝集抑制作用は無いとされているが婦人科,非婦人科に関わらず,細胞診検体における微量な血液の混入や蛋白の存在は肉眼では判断できない。そこで我々は,上記3種類の保存液の日常業務における運用方法の策定を行うことを目的として,擬似保存液を作製し,それぞれの保存液の溶血能力と蛋白凝集抑制作用について比較検討を行った。その結果,①Blueでは,溶血能力がGyneやRedよりも弱いために,血液は完全に溶血せず,Ghost赤血球や血液残渣が標本全体に塗抹されるため,目的とする細胞の塗抹量が十分でない場合がある。②GyneとRedは溶血能を有し,さらにホルムアルデヒドを含むため,メチレン架橋による蛋白凝集抑制作用を有する。しかし,GyneはRedよりもホルムアルデヒド濃度が低いため,時間経過とともに蛋白凝集抑制作用が低下することが明らかになった。したがって,Gyneでの長時間の細胞保存は,目的とする細胞の塗抹量が十分でない場合があることを認識する必要がある。

収録刊行物

  • 医学検査

    医学検査 64 (4), 475-482, 2015

    一般社団法人 日本臨床衛生検査技師会

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