骨盤神経再建と結腸代用膀胱に関する電気生理学的および組織学的検討

DOI
  • 長 雄一郎
    東京医科歯科大学 大学院保健衛生学研究科 形態・生体情報解析学分野
  • 佐藤 健次
    東京医科歯科大学 大学院保健衛生学研究科 形態・生体情報解析学分野
  • 星 治
    東京医科歯科大学 大学院保健衛生学研究科 形態・生体情報解析学分野

書誌事項

タイトル別名
  • An electrophysiological and histological analysis of pelvic nerve reconstruction and colonic bladder substitutes

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抄録

膀胱の機能制御には下腹神経(HN)と骨盤神経(PN)が重要な役割を果たしている。また結腸の機能制御は結腸神経(CN)により支配されている。本研究では、ビーグル犬5頭に対し、結腸を利用した膀胱拡大術およびHN を間置したPN-HN-CN 再縫合術を施行し、結腸を膀胱に移植した結腸代用膀胱モデルを作製して、結腸代用膀胱に至るPN の再生および膀胱機能再建に関して電気生理学的、組織学的検討を行った。術後18ヶ月に、縫合PN-HN-CN の電気刺激による結腸代用膀胱の収縮反応を電気生理学的に測定した。その結果、PN 部と間置HN 部の電気刺激により、犬5頭全てにおいて結腸代用膀胱圧の上昇反応が検出され、その収縮圧は最高15 mmHg から最低4 mmHg の範囲にあり、平均8.3 mmHgであった。さらに、縫合PN-HN-CN 組織および正常対照(対照PN、対照HN)組織を採取し、ヘマトキシリン・エオジン染色法、鍍銀染色法、免疫組織化学染色法、透過型電子顕微鏡法により、縫合PN-HN-CN 組織の微細構造について組織学的に検討した。その結果、縫合PN-HN-CN 組織の全経過で連続的な神経線維の存在が確認され、PN-HN 縫合部では結合組織の増加および神経線維のランダムな走行も観察された。また縫合PN-HN-CN の末梢側ほど神経線維の変形が強くなり、軸索径も細く変化し、神経線維が結合組織間に疎に散在し、一部では細い無髄神経線維が少数集まり、束を形成し始めていた。以上より、縫合PN-HN-CN におけるPN の再建が確認された。縫合PN-HN-CN の中枢側であるPN 部より神経線維が再生し、その再生PN の副交感神経作用が本来は交感神経であった間置HN 部とCN 部を介して結腸代用膀胱において発現されたことから、神経縫合を施行した結腸代用膀胱が機能的にも代用膀胱となり得る可能性が示唆された。

収録刊行物

  • 形態・機能

    形態・機能 14 (1), 22-32, 2015

    コ・メディカル形態機能学会

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