ザゼンソウの肉穂花序温度調節機構に関する制御工学的解析

  • 稲葉 繁樹
    佐賀大学農学部生物環境科学科 農業生産機械学分野
  • 広間 達夫
    佐賀大学農学部生物環境科学科 農業生産機械学分野
  • 伊藤 菊一
    岩手大学農学部附属寒冷バイオフロンティア研究センター 生体熱制御システム研究分野
  • 原 道宏
    岩手大学名誉教授
  • 鳥巣 諒
    岩手大学名誉教授

書誌事項

タイトル別名
  • Analysis of the Spadix Temperature Control Mechanism in Skunk Cabbage by Using the Proportional Integral Differential (PID) Algorithm

抄録

ザゼンソウの発熱器官である肉穂花序の温度制御機構について,周囲と肉穂花序の温度測定結果を元に,PID(Proportional Integral Differential)動作によるフィードバック制御の適用について検討した.まず容器をかぶせ,周囲を雪で覆ってザゼンソウの周囲を冷却した.翌日,それらを取り除いて急激な温度変化を発生させ,その後通常の外気温下に数日間置いた.その全ての過程で,肉穂花序温度と周囲温度を計測した.その結果,発熱最盛期の雄期の肉穂花序温度の目標温度は一定ではなく,直線的に変化する可変目標値で表せることが判明した.発熱の状態は活性化係数で表すことができ,同じ発熱植物であるハスより高いことが確認された.また,制御系において,肉穂花序温度をフィードバック要素として可変目標値との偏差を制御器に導く制御機構について検討したところ,外気温や発熱部から肉穂花序中心に至る伝達関数は一次遅れ系で,制御器は積分動作で表すことができた.肉穂花序温度における本制御系は,急激な温度変化に対してやや遅れて追従しつつ目標温度に戻るのに対し,穏やかな変化に対してはともに少しずつ変化する応答を示し,肉穂花序温度が自身の可変目標値に従って変化していると考えられた.

収録刊行物

参考文献 (5)*注記

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