子宮平滑筋肉腫の肺転移とするか,良性転移性平滑筋腫とするか,診断ならびに取り扱いに苦慮した子宮類上皮平滑筋腫瘍の1例

書誌事項

タイトル別名
  • Difficulty distinguishing benign metastasizing leiomyoma from pulmonary metastasis of leiomyosarcoma in a patient with uterine epithelioid smooth muscle tumor
  • 症例報告 子宮平滑筋肉腫の肺転移とするか,良性転移性平滑筋腫とするか,診断ならびに取り扱いに苦慮した子宮類上皮平滑筋腫瘍の1例
  • ショウレイ ホウコク シキュウ ヘイカツキン ニクシュ ノ ハイ テンイ ト スル カ,リョウセイ テンイセイ ヘイカツ キンシュ ト スル カ,シンダン ナラビニ トリアツカイ ニ クリョ シタ シキュウルイ ジョウヒ ヘイカツキン シュヨウ ノ 1レイ

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抄録

子宮平滑筋腫瘍(SMT)の良性・悪性の病理組織学的鑑別は,細胞異型,凝固壊死,核分裂指数の3つの指標による総合判定で行うStanford criteriaが用いられている.しかし,これは通常型(紡錘形細胞)のSMTのみに適用でき,組織学的変異型である類上皮や類粘液のSMTには適用できない.今回,①粘膜下筋腫に対する子宮鏡下筋腫核出術後,②3年6カ月目と③4年7カ月目の2回ダグラス窩に局所再発,④6年2カ月目に多発肺転移をきたし,それぞれ摘出術を受け,病理組織学的に類上皮平滑筋腫とされた30歳代未経妊の症例を経験した.画像所見は,①3cm大で充実性,②5cm大,嚢胞性で一部充実性,③9cm大,嚢胞性で一部充実性,④最大1.8cm大で充実性,またFDG-PET SUVmax値は,②2.1,④1.5であった.病理組織所見は,①は紡錘形細胞で一部に類円形細胞の上皮様配列を伴い,②~④は類円形細胞が上皮様配列を呈していた.凝固壊死はいずれも伴わず,核分裂指数はそれぞれ,0,1,2,2であった.免疫染色では,①~④いずれもαSMA(+)~(3+),ER(+),PgR(+)で,MIB-1標識率はそれぞれ1.2%,3.4%,3.7%,2.0%と比較的低値であった.本例は,良性転移性平滑筋腫とするか,平滑筋肉腫の肺転移とするか,類上皮平滑筋腫瘍の良性・悪性の病理組織学的診断基準が不明確なため,取り扱いに苦慮した.〔産婦の進歩67(3):276-284,2015(平成27年8月)〕

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